景気不安、世界で拡大=相互関税で株価急落―トランプ氏「政策変えない」 2025年04月05日 18時18分

【ワシントン、ニューヨーク時事】トランプ米大統領が打ち出した「相互関税」をきっかけに、景気悪化への不安が世界中に広がっている。日米欧の金融市場は大混乱し、株価急落に歯止めがかからない状況だ。しかし、トランプ氏は「政策は決して変えない」と宣言。高関税政策で製造業の米国回帰を促す方針を堅持している。
4日の米ダウ工業株30種平均終値は前日比2231.07ドル安の3万8314.86ドルと、節目の4万ドルを約8カ月ぶりに割り込んだ。下げ幅は史上3番目の大きさだった。中国が相互関税への報復措置を発表したことを受け、「貿易戦争」激化への懸念から、売りが売りを呼んだ。
2日の相互関税発表以降、2日間の下げ幅はダウが3900ドル超、日経平均も2000円近くに達したほか、アジアではベトナムが8%超急落。欧州でも4日の各国の主要指数が軒並み4%超下げるなど、世界同時株安の様相を呈している。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は4日の講演で、関税引き上げ幅は「想定よりも著しく大きい」とショックを隠さなかった。さらに、米経済が「インフレ高進と失業増のリスクに直面している」と認めた。
一方、この日発表された3月の米雇用統計では、景気動向を反映する非農業部門の就業者数が市場予想を大きく上回り、労働市場が底堅さを保っていることが示された。トランプ氏は「偉大な数字だ。予想よりはるかに良かった」と手放しで評価。関税を含めた政策が「既に機能している」と誇った。
しかし、米メディアによると、金融大手JPモルガン・チェースは「いずれ血に染まる」と題したメモで「高関税政策は米経済や、恐らく世界経済も景気後退に追い込む公算が大きい」と警告。世界経済が今年、景気後退に陥る確率を4割から6割に引き上げた。
「不屈さを保て、負けるはずはない!」「弱者だけが失敗する!」。トランプ氏は4日、SNSでことさらに強気の投稿を繰り返した。一方で、パウエル氏には「利下げする絶好機だ」と、直ちに金融緩和に踏み切るよう要求。忍び寄る景気悪化リスクを意識せざるを得ない様子をうかがわせた。