米株価、利下げ期待で最高値=インフレ再燃なら失速リスク 2025年08月16日 14時57分

15日、ニューヨーク証券取引所で働くトレーダーら(AFP時事)
15日、ニューヨーク証券取引所で働くトレーダーら(AFP時事)

 【ニューヨーク時事】米主要株価指数は、大手企業の好決算が相次いだことに加え、米連邦準備制度理事会(FRB)が近く利下げを再開するとの期待を背景に最高値圏で推移している。ただ、トランプ米政権の高関税政策でインフレが再燃し、企業業績や金融政策に影響が及ぶリスクも抱えている。
 4月にトランプ米大統領が相互関税を発表すると、世界経済の減速懸念から米株価は暴落。ダウ工業株30種平均は一時、4万ドルの大台を割り込んだ。その後、各国との貿易交渉の進展や、関税発動を受けた価格転嫁の動きが当初警戒されたほど急激ではないとの見方から徐々に値を戻し、今月15日には一時4万5200ドル台に上昇。昨年12月に付けた取引時間中の史上最高値を更新した。
 12日発表された7月の米消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2.7%と、伸び率は前月から横ばいで、市場予想を下回った。投資家らは、FRBが9月の金融政策会合で利下げを決定し、景気を下支えするとの期待を強めた。
 ただ、米金融大手ウェルズ・ファーゴのエコノミストは、これまでは企業が値上げに慎重だったため、関税の影響が緩和されたと分析。「関税率が高止まりしており、今後数カ月間はそのコストが販売価格に波及し続けるだろう」と警鐘を鳴らす。
 米国株は近年、特に巨大IT企業や、人工知能(AI)関連投資などへの期待もあり上昇してきた。日系証券筋は「4~6月期決算でAI関連のニュースを発表したものの、利益を上げていないIT企業も多い」と指摘。9月中旬のFRB会合までに強いインフレ統計が出た場合には利下げの前提条件が崩れ、「相場が荒れる可能性もある」と述べた。 

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