米関税、日本の成長下押し=財政、柔軟に―ASEANプラス3エコノミスト 2025年04月15日 14時47分

コー・ホーイー ASEANプラス3・マクロ経済調査事務局チーフエコノミスト(AMRO提供)
コー・ホーイー ASEANプラス3・マクロ経済調査事務局チーフエコノミスト(AMRO提供)

 日本と中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)の地域経済を分析する国際機関「ASEANプラス3・マクロ経済調査事務局(AMRO)」のチーフエコノミスト、コー・ホーイー氏は15日までに時事通信の書面インタビューに応じた。トランプ米政権の関税政策で「日本の成長率は押し下げられる恐れがある」と説明。貿易摩擦の激化に備え、柔軟な財政支出が必要だと訴えた。主なやりとりは次の通り。
 ―米国の相互関税が日本経済に与える影響は。
 2025年の成長率を1.3%から1.1%に押し下げる可能性がある。貿易紛争の激化で世界的に投資意欲が大幅に低下すれば影響はさらに大きくなり、影響が完全に顕在化する26年の成長率は0.4%に低下するだろう。成長の減速に加え、円高が進む可能性があり、物価は予測より低下するだろう。
 ―日本の財政状況をどのように見ているか。
 日本は慢性的な財政赤字と高水準の公的債務を抱えており、中期的には着実な財政健全化を図る必要がある。短期的には米関税を巡る不確実性から柔軟な財政政策は正当化される。大規模な支援策は不要だが、貿易摩擦が激化した場合には緊急対応策を実行すべきだ。
 ―金融政策への見解は。
 日銀による段階的な金融政策の正常化は適切で、賃金と物価の好循環が定着しつつあることを示す証拠も増えている。しかし、関税引き上げが日本経済の成長見通しやインフレに悪影響を及ぼす可能性を踏まえ、日銀は利上げに関しては一層注意を払うべきだ。 

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