トランプ氏、低金利志向鮮明=返り咲きならFRBへ圧力?―米大統領選 2024年07月21日 18時12分
【ワシントン時事】11月の米大統領選で、共和党から正式に候補指名されたトランプ前大統領が、低金利志向を鮮明にしている。ただ、政策金利の設定は中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の「専権事項」。トランプ氏が返り咲けば、前回在任時のように露骨な利下げ要求を繰り返しかねず、パウエル議長はFRBの独立性保持に再び苦心しそうだ。
「インフレ危機を即座に終わらせ、金利を低下させる」。トランプ氏は18日、共和党全国大会で行った大統領候補の指名受諾演説で、低金利を追求する考えを改めて表明した。一方、市場ではインフレの鈍化基調を受け、FRBが9月の金融政策会合で利下げを決めるとの見方が大勢を占める。
ただ、トランプ氏は17日公表された米メディアとのインタビューで、大統領選前の利下げについて、FRBは「そうすべきではないと分かっている」とけん制した。利下げによる景気押し上げ効果は、現職のバイデン大統領に有利に働きかねないためだ。パウエル氏は15日、「政策決定は経済指標に基づいて行う。政治的な考慮はしない」と述べ、選挙前に政策変更があっても問題はないとの見方を示唆していた。
トランプ氏は「労働者への大幅な減税」などを公約しており、その政策は財政赤字を拡大させかねない。大統領に復帰し、公約に沿った政策を遂行すれば財政が悪化し、インフレや長期金利を上振れさせる恐れがある。FRBに対する利下げ圧力は、金融政策への信頼を低下させ、こうした状況に拍車を掛けるとの懸念は根強い。
パウエル氏は「民主、共和両党の議会幹部は、中央銀行の独立性を理解している」と、議会の幅広い支持に期待を寄せている。しかし、強権的でワンマンなトランプ氏が議会の声に耳を傾けるかどうかは不透明だ。