東西格差、なお埋まらず=極右が不満受け皿に―独統一35年 2025年10月03日 17時10分

極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の集会に参加する支持者=1月、独東部ハレ(AFP時事)
極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の集会に参加する支持者=1月、独東部ハレ(AFP時事)

 【ベルリン時事】冷戦下で分断した東西ドイツの統一から3日で35年となった。旧西独と旧東独両地域の格差は、今も埋まっていない。極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が不満の受け皿となり、旧東独では2月の総選挙で最多票を獲得した。経済不安の中、AfDは旧西独でも着実に勢力を拡大している。
 9月に独全土で行われた世論調査で、「東西のドイツ人は一つの国民として成長しているか」という問いを肯定した回答者は35%と3人に1人にとどまった。特に旧東独では4人中3人が「むしろ分断が大きい」との認識を示した。こうした傾向は景気が停滞している近年強まっている。
 公共放送ZDFによると、2024年時点で、平均月収は旧東独が837ユーロ(約14万5000円)少なく、1人当たりの相続される資産額には4倍の開きがある。専門家は「地域間の大きな格差によって、(旧東独地域の)成長の機会は制限される」(ゲルリッツ大教授)と指摘している。
 旧東独出身者は「二級市民」扱いされているとの劣等感がくすぶっている。旧西独でも、都市との格差が広がる廃れた工業地域や農村部を中心に、歴代政権を担った既存の政党との違いを打ち出すAfDが求心力を高めている。 

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