利下げ観測で市場強気に=米株価、8カ月ぶり高値更新 2025年08月23日 15時08分

【ニューヨーク時事】22日のニューヨーク株式市場で、優良株で構成するダウ工業株30種平均が昨年12月4日以来、8カ月半ぶりに終値の最高値を更新した。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演での発言が、市場の予想よりも「ハト派的」(米金融大手)と受け止められ、9月の金融政策会合での利下げ観測が拡大。金利の引き下げで景気が下支えされるとの強気姿勢が台頭した。
ダウ平均は前日終値比846.24ドル高の4万5631.74ドルで取引を終えた。
トランプ米政権が4月に相互関税を発表すると暴落し、一時3万6000ドル台まで下げたが、堅調な米企業業績や貿易交渉の進展などを受けて徐々に回復。それでもハイテク株中心のナスダック総合指数や投資家が重視するS&P500種株価指数が6月末から最高値更新を続けていたのと比べ出遅れていたが、この日のパウエル氏の発言を材料に最高値を塗り替えた。
市場は今月1日に発表された弱い内容の米雇用統計を受け、9月利下げの織り込みを加速。ただ、今週に入ると、FRB高官のタカ派的な発言などを背景にパウエル氏が講演で利下げに消極的な姿勢を示すとの警戒感が高まり、株価は21日にかけて下落基調をたどった。
パウエル氏は講演で「(インフレと雇用悪化の)リスクバランスの変化を踏まえれば、政策スタンスの変更が必要だろう」と指摘。これまで以上に雇用への懸念を強調したことで「FRBは雇用リスクを重視して利下げに踏み切る」(日系証券)との見方が強まった。利下げの恩恵を受けやすい金融や住宅、IT関連株の買いが膨らんだ。
一方、パウエル氏はトランプ関税による物価への影響について、短期的にとどまるとの予想を「基本シナリオ」としながら、長期的にインフレを引き起こすリスクにも言及。金融政策の決定は経済データ次第との考えも改めて説明した。雇用指標が想定以上の強さを示すなどすれば、利下げ観測がしぼみ、株価が急落する恐れがある。