〔NY外為〕円、144円台前半に急上昇=米中貿易戦争激化に懸念(10日) 2025年04月11日 06時31分

 【ニューヨーク時事】10日のニューヨーク外国為替市場では、米中貿易戦争の激化懸念が広がる中、リスク回避の円買い・ドル売りの流れが強まり、円相場は1ドル=144円台前半に急上昇した。午後5時現在は144円38~48銭と、前日同時刻(147円70~80銭)比3円32銭の大幅な円高・ドル安。
 トランプ米政権は9日、対抗措置を講じていない貿易相手国に対し、相互関税の上乗せ部分の適用を90日間停止すると表明した。他方、報復関税を導入する中国への税率は145%に引き上げられ、米中双方による応酬がエスカレートし、世界経済が冷え込むとの警戒感が高まっている。市場では「高関税政策で貿易量が縮小し、基軸通貨であるドルの需要が減少する」(日系証券)との見方から、安全資産とされる円が買われた。
 一方、米長期金利上昇に伴い日米金利差を意識した円売り・ドル買いが進む場面もあった。
 朝方発表された3月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.4%上昇と、伸びは2カ月連続で縮小し、市場予想(ロイター通信調べ=2.6%上昇)も下回った。インフレ鈍化を示唆する内容だったが、米中対立で物価高が再燃する懸念があるだけに、市場の反応は限られた。
 ユーロは同時刻現在、対ドルで1ユーロ=1.1194~1204ドル(前日午後5時は1.0945~0955ドル)、対円では同161円89~99銭(同161円67~77銭)と、22銭の円安・ユーロ高。

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