米でオフィスが住宅に変貌=NYなど、在宅勤務定着で 2024年04月06日 14時05分

米ニューヨーク・マンハッタンのウォール街で、オフィスからマンションに改装されたビルのモデルルーム=1日
米ニューヨーク・マンハッタンのウォール街で、オフィスからマンションに改装されたビルのモデルルーム=1日

 【ニューヨーク時事】ニューヨークをはじめとする米国の主要都市で、使われなくなったオフィスが住宅に変貌し始めている。コロナ禍を経て在宅勤務が定着し、オフィスの空き物件が増えたためだ。長年問題となっている住宅不足の緩和にもつながる「一石二鳥」の効果が期待されている。
 ニューヨーク・マンハッタンのウォール街。金融機関が立ち並ぶ一角から歩いて数分の場所に、一見オフィスのような30階建てのビルがたたずむ。実は中身は住宅だ。改装を手掛けた不動産会社の担当者は「入居者はもともとオフィスだったことをほとんど感じないはずだ」と出来栄えに胸を張る。
 ビルは1970年代に建てられ、2021年までオフィスとして使われていた。ただ、コロナ禍で「オフィス市場が深刻な打撃を受けた一方、集合住宅は底堅いとの兆しが見え始めた」(同担当者)ことから、全588戸のマンションへの転用が決まったという。家賃は単身用で約3500ドル(約53万円)からだ。
 住宅不足に悩む行政も、規制見直しなどでこうした取り組みを後押しする。報道によると、50を超えるビルがニューヨーク市の協力を得て住宅に生まれ変わる見通し。アダムズ市長は、空きのオフィスが住宅になれば「地域活性化にもつながる」と意義を訴える。
 先の不動産会社は、経営再建中の米共用オフィス大手ウィーワークがマンハッタンで借りていたスペースを住宅に造り替えるプロジェクトも展開中。ウォール街近辺では、かつて金融大手ゴールドマン・サックスの本社が置かれていたビルも、別の事業者の下で住宅への改装が進む。また、シカゴやロサンゼルス、首都ワシントンといった他の都市でも同様の動きが出ている。 

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米ニューヨーク・マンハッタンのウォール街で、オフィスからマンションに改装されたビル=3月31日
米ニューヨーク・マンハッタンのウォール街で、オフィスからマンションに改装されたビル=3月31日

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