飢餓の深刻度、最悪水準=子どもの犠牲が最多に―ガザ 2024年04月06日 17時19分
昨年10月にイスラム組織ハマスとイスラエルの衝突が始まって以来、パレスチナ自治区ガザは、かつてない飢餓に襲われている。国連の世界食糧計画(WFP)が3月に公表した報告書によれば、飢餓の深刻度を示す国際的な指標で、7月までに約110万人が5段階中最悪の「壊滅的飢餓」に陥る見通しだ。
衝突開始前は、ガザ北部で急性栄養不良の人の割合は1%未満だったが、今年2月には10%以上に急増。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリニ事務局長は「これまでガザでは飢えで人が亡くなることはなかった」と強調。イスラエルがガザ封鎖を強化し、十分な支援物資が届かないことが最大の原因だと指摘し、「人災だ」と訴える。
ガザでは戦闘の犠牲になった子どもの多さも際立つ。国連によれば、2022年以降、ロシアによるウクライナ侵攻で亡くなった子どもは約580人なのに対し、ガザの衝突では半年で約1万4500人だ。UNRWAは、22年までの4年間に世界各地で起きた紛争と比べても「最も多くの子どもがガザで犠牲になっている」と指摘し、強い危機感を示した。
インフラの破壊も深刻だ。世界銀行の報告書によると、ガザの被害額は約185億ドル(約2兆8000億円)。生活の基盤である住居や水道設備、教育や医療機関が大半を占めている。