戦闘終結見通せず=イスラエル国民は戦争支持―生き残り図るハマス・ガザ衝突半年 2024年04月06日 18時38分
【エルサレム時事】イスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスの戦闘が始まって7日で半年。戦闘休止と人質解放を巡る交渉は停滞したままだ。「ハマス壊滅」を掲げるイスラエルと、恒久停戦で態勢を立て直したいハマスの思惑が平行線をたどっている。
◇首相が障害
イスラエルのネタニヤフ首相は衝突開始以来、「人質解放にはハマスへの軍事的圧力と交渉が必要だ」と主張し、戦闘継続を正当化してきた。だが、パレスチナ自治区ガザで拘束される人質の家族団体からは、交渉に後ろ向きなネタニヤフ氏こそが人質奪還の「障害だ」と糾弾する声が上がる。先月31日には、ハマスの奇襲以来最大規模の抗議活動が行われ、首相退陣や解散を求めた。
次期首相の最有力候補と目されるガンツ前国防相も3日、戦時内閣メンバーでありながら、前倒し総選挙を呼び掛けた。連立政権内で亀裂が露呈し、ネタニヤフ氏が首相の座を追われる可能性も出てきた。
一方、イスラエル紙ハーレツは、国民がネタニヤフ氏退陣を求めても、「戦争自体は支持している」と指摘。最新の世論調査では、ユダヤ系の8割が戦闘継続でガザ住民に配慮する必要がないと回答。約1200人の犠牲者を出した奇襲の衝撃は今も消えず、国民の間で停戦機運は低い。こうした状況を受け、ネタニヤフ氏が目に見える「戦果」で支持を集めようと最南部ラファ侵攻に踏み出し、作戦はさらに長期化する恐れがある。
◇抵抗続け譲歩せず
「われわれは自らの要求に全力で取り組んでいる」。ハマスの最高指導者ハニヤ氏は3日、テレビ演説でこう語った。ハニヤ氏が示した条件は、恒久停戦やイスラエル軍のガザ撤退など、いずれもイスラエルが拒否してきた内容で、譲歩する姿勢は見られない。
24あったハマスの大隊はラファに4部隊を残すのみ。約3万人いるというハマス戦闘員は、1万3000人以上が死亡したとされる。しかし、ハマスは、イスラエル軍が制圧を宣言したガザ北部でも病院を再拠点化してゲリラ戦を展開するなど抵抗を続けている。
エジプト紙アルアハラム編集者のアシュラフ・アブアルホル氏は「ハマスにとっての勝利は、ガザで力を維持することだ」と指摘。市民の犠牲者が増えることで米国など国際社会の圧力が増し、イスラエルが戦闘をやめることに「賭けている」とみている。
パレスチナ・アルクッズ大のアイマン・ナカブ教授(政治学)もハマスの目的は「組織としての生き残りだ」と説明。そのために「ハマスは最後の一人まで戦う。たとえガザが焦土と化しても犠牲をいとわない」と語った。