尹政権の浮沈占う総選挙=10日投開票―韓国 2024年04月09日 18時31分

9日、ソウルで有権者に支持を訴える韓国与党「国民の力」トップの韓東勲非常対策委員長(右)(EPA時事)
9日、ソウルで有権者に支持を訴える韓国与党「国民の力」トップの韓東勲非常対策委員長(右)(EPA時事)

 【ソウル時事】韓国総選挙(定数300)が10日、投開票され、11日未明までに大勢が判明する見通しだ。発足後約2年の尹錫悦政権の「中間評価」と位置付けられる。政権への審判ムードが強い中、少数与党「国民の力」の過半数確保は厳しいとの見方が多い。尹政権の浮沈が懸かるだけに、政権・与党は、革新系野党勢力の躍進を阻止し、今後の国政運営の推進力を少しでも維持したい意向だ。
 小選挙区で254議席、比例代表で46議席を決める。革新系最大野党「共に民主党」が優勢と伝えられるが、与党も終盤に追い上げており、約50選挙区が接戦とされる。地域別では、無党派層の比重が高く、大票田の首都圏が勝敗を分けるとみられ、無党派層の多い18歳~30代の動向もカギになりそうだ。
 選挙戦最終日の9日、国民の力トップの韓東勲非常対策委員長はソウル各地の激戦区を遊説。いずれも刑事事件の被告として法廷に立たされている共に民主党の李在明代表、野党「祖国革新党」のチョ国代表の2人について「犯罪の責任を免れるため政治をしている」と批判した。
 野党側が3分の2の議席を取れば、大統領の弾劾訴追が可能となり、野党側主導で可決された法案に対する大統領の拒否権行使も事実上できなくなる。韓氏は「野党が200議席を持つ恐ろしい新世界を防いでほしい」と呼び掛けた。
 これに対し、背任事件の被告として公判に出席した李氏は9日、裁判所前で「検察独裁政権が私の手足を縛ろうとしている」と非難。「尹政権は経済、国民生活、外交、安全保障、民主主義、すべての面で国を後退させた」と訴えた。
 選挙結果は、対日関係改善を進めてきた尹政権の残りの任期約3年を左右する。現在は与党が114議席で共に民主党が156議席。与党が過半数を占めれば、政府と国会の「ねじれ」が解消され、尹政権には大きな追い風になる。過半数に至らない場合は少数与党のままで、不安定な政権運営が続く。それでも議席をできるだけ上積みし、「一定の民意を得た」と位置付けたいところだ。
 与党がほとんど議席を増やせないような厳しい結果になれば、政権の求心力低下は必至。尹政権の対日姿勢を批判してきた野党や市民団体は勢いづくとみられ、日韓関係に影響がありそうだ。韓国内の反発が根強い安全保障分野の協力を進めにくくなる可能性もある。 

その他の写真

9日、ソウル中央地裁に到着し取材に応じる韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表(EPA時事)
9日、ソウル中央地裁に到着し取材に応じる韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表(EPA時事)

海外経済ニュース