物理学者ヒッグス氏死去=94歳、「ヒッグス粒子」でノーベル賞 2024年04月10日 06時34分
【ロンドン時事】万物に質量を与える「ヒッグス粒子」の存在を提唱し、2013年にノーベル物理学賞を受賞したピーター・ヒッグス英エディンバラ大名誉教授が8日、死去した。94歳。同大によると短い闘病の後、穏やかに息を引き取った。
1929年、英ニューカッスルで生まれた。ロンドン大キングス・カレッジで博士号を取得後、エディンバラ大に移り、64年に宇宙のあらゆる場所を満たしている素粒子によって他の素粒子の動きが邪魔され、動きにくくなることで質量が生じるとの理論を発表。この素粒子はヒッグス粒子と呼ばれ、半世紀にわたって探索が続けられた。
2012年にスイスの欧州合同原子核研究所(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)での実験で、ヒッグス粒子とみられる新粒子が発見され、翌年に同粒子と断定された。
ヒッグス粒子には多くの日本人が絡んでいる。土台になったのは、08年にノーベル物理学賞を受賞した故南部陽一郎米シカゴ大名誉教授が1960年に提唱した理論。また、発見したCERNの国際実験グループには、東大や高エネルギー加速器研究機構などから100人を超える研究者が参加していた。