中国、セルビアと連携拡大=習氏訪欧、親ロシア国に照準 2024年05月08日 23時00分
【ベルリン時事】中国の習近平国家主席は8日、欧州歴訪2カ国目のセルビアで、ブチッチ大統領と会談し、巨大経済圏構想「一帯一路」を基盤とした連携強化を打ち出した。両首脳は共同声明で「未来を共有する共同体構築」をうたい、経済にとどまらない幅広い分野で協力する考えを示した。
習氏は会談で「セルビアは複雑な外部環境に直面しながら、自主独立を堅持している」と、対中警戒が強まる欧州内での親中姿勢を評価。両国関係を「鋼の友情」と呼び、「より多彩な歴史の幕を開く」と訴えた。
ブチッチ氏はこれに先立つ歓迎式典で「セルビアほど習氏に敬意と称賛を示す国はない」と語り掛け、中国との連携による経済的な恩恵に謝意を表明。また「台湾は中国だ」と述べ、中国の主張を全面的に支持した。
セルビアメディアによると、中国からの使節団は400人規模。両国は経済協力や文化交流など約30件の合意を交わした。直通の航空便開設についても協議した。
習氏は7日夜、セルビア入りした。同日は1999年の北大西洋条約機構(NATO)による当時ユーゴスラビアの首都だったベオグラードに対する空爆で、米軍が中国大使館を誤爆してから25年の節目の日。習氏は現地紙に「決して忘れない。悲劇を繰り返すことは許さない」と寄稿し、米国への対抗心をにじませた。
セルビアはロシアの友好国。ブチッチ氏は昨年10月、北京で開かれた一帯一路関連の国際会議に出席した際、プーチン大統領と会談した。習氏はセルビア訪問後、ハンガリーに向かい、プーチン氏と親密なオルバン首相と会い、訪欧を終える。習氏は最初にフランスを訪れており、ロシアと緊密な関係を保ちながら、米欧の連携を乱そうとする中国側の思惑がうかがえる。