金活況、新規投資増える=最高値圏推移、ドル離れが後押し 2025年09月14日 19時08分

 【ロンドン時事】金の取引が活況だ。米国の利下げ観測と中央銀行の独立性に対する懸念が金相場の急騰を後押し。先週前半に最高値を更新して以降、1オンス=3600ドル(約53万円)超の高値圏で推移している。中国を筆頭に米ドル離れの動きも続いており、「安全資産」である金の価格はまだ上昇するとの見立てから、新規顧客による買いも堅調だ。
 ロンドン自由金市場の金塊相場は9日、一時3674ドルと史上最高値を更新した。米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が今週、利下げ再開を決めるとの見方が市場で確実視される中、リスク回避局面で買われやすい金は引き続き高値圏で推移。金価格は2024年に27%の上昇を記録した後、今年に入ってからこれまでに39%上昇した。
 最近の金価格上昇には、トランプ米大統領によるFRB人事への介入で中央銀行の独立性に対する懸念が強まったことが大きい。英オンライン貴金属取引所ブリオンボールトの日本市場責任者を務めるホワイトハウス佐藤敦子氏は、トランプ氏がFRBへの影響力を強めれば、米長期国債から貴金属へと投資先の移行が進み、さらなるドル離れを招くと予想する。
 新興・途上国「グローバルサウス」による近年のドル離れも、金相場を下支えする。19年に日本に抜かれるまで最大の米国債保有国となっていた中国は、外貨準備に含まれる米国債を減らし、最近では国別順位を3位に下げた。一方、金の保有量を増やしており、インドやトルコも購入を継続している。
 ブリオンボールトによると、8月に同社で口座を開設し、金を購入した新規顧客数は前月比6.7%増と増加傾向にある。調査責任者のエイドリアン・アッシュ氏は最新のリポートで「トランプ氏の政策が中銀やアジアの富裕層から金への資金流入を後押ししている。不信感と不確実性が、今後も金価格を支える要因となりそうだ」との見解を示した。 

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