パレスチナ加盟「再検討」要求=総会決議採択で米苦境―国連 2024年05月11日 14時23分
【ニューヨーク時事】国連総会(193カ国)は10日、パレスチナの国連加盟について、安全保障理事会に再検討を求める決議を採択した。安保理が加盟の可否を巡る採決を再び行えば、イスラエルの後ろ盾の米国は拒否権行使を余儀なくされ、バイデン政権の立場は一層苦しいものになりそうだ。
米国は4月、パレスチナの加盟を勧告する安保理決議案に「時期尚早だ」として拒否権を発動した。この日の総会決議に関しても、採決前に「見解は変わらない」と反対を表明し、他国にも反対票を投じるよう呼び掛けた。
しかし採決では、日本やフランスを含む143カ国が賛成。英国など25カ国が棄権し、反対は米国やイスラエルなど9カ国にとどまった。総会決議に法的拘束力はないが、7割以上という圧倒的多数がパレスチナ加盟を支持していることを示した。実際にパレスチナを国家承認している国も約140カ国に上る。
現在、投票権を持たない「オブザーバー国家」の地位にあるパレスチナが正式な加盟国となるには、安保理の勧告が必要。総会決議は、国連憲章上の加盟資格をパレスチナは満たしているとして、「加盟が認められるべきだ」と明記し、安保理に「好意的に再検討」するよう要請した。
イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘長期化に伴い、バイデン政権への視線は厳しさを増している。昨年10月の衝突後、米国は安保理でのパレスチナを巡る決議案の採決で計5回、拒否権を行使した。ロシアのウクライナ侵攻を非難する一方で、イスラエル擁護を続ける米国の姿勢には、「二重基準だ」との批判が絶えない。
採択後の演説でウッド米国連代理大使は、パレスチナの加盟は「イスラエルとの直接交渉」によって実現されると従来の立場を繰り返し、安保理が再検討した場合は拒否権を発動すると示唆。一方で、「米国はパレスチナ国家樹立に向けた取り組みを強化する」と述べ、孤立を避けたい本音もにじませた。