中国、報復関税発動=米農産物対象、最大15%上乗せ 2025年03月10日 01時33分

【北京時事】中国政府は10日、米国産の農産物などに最大15%の報復関税を発動した。トランプ米政権による4日の対中追加関税の引き上げへの対抗措置。米側は対中関税のさらなる上乗せに意欲を示しており、両国の貿易摩擦は一段と激化する可能性が高い。
中国政府の公告によると、米国産の鶏肉と小麦、トウモロコシ、綿花に15%、大豆や牛肉に10%の関税を上乗せ。先月には米国の追加関税に対抗して原油や液化天然ガス(LNG)に報復関税を課しており、今回は「第2弾」となる。農家やエネルギー業界はトランプ大統領の有力な支持基盤で、狙い撃ちの対象にしたもようだ。
中国の王文濤商務相は6日の記者会見で「国益を守り切るという決意は決して変わらない」と述べ、改めて米国を強くけん制した。
北京駐在の欧州メディア関係者は中国共産党筋の話として、中国はトランプ政権との貿易摩擦に備えて「相当入念に準備を進めてきた」との見方を明らかにした。2024年の中国貿易統計によると、大豆などの対米輸入依存度は前年から低下している。
5日から開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では、政府が食料増産を図る方針を打ち出した。対米貿易摩擦を見据え、新疆ウイグル自治区で昨年から綿花の生産拡大が図られているとの報道もある。米国の関税引き上げに伴う中国への影響が以前よりも小さくなっているとみられる中、関税の撤回に向け、「中国は米国との対話をそれほど急いでいない」(先の関係者)との見方も出ている。