在任9年半、トルドー氏退任=最後までトランプ氏と「対決」―カナダ 2025年03月13日 14時28分

カナダのトルドー首相=4日、オタワ(EPA時事)
カナダのトルドー首相=4日、オタワ(EPA時事)

 【ニューヨーク時事】カナダのジャスティン・トルドー首相(53)が14日に退任する。首相を9年半近く務めた先進7カ国(G7)最古参の首脳で、米国の国益追求を前面に押し出すトランプ米大統領と第1次政権時代に続き「対決」。最近はトランプ氏の関税による圧力に最後まで引かない姿勢を見せていた。
 トルドー氏とトランプ氏は5日、約50分にわたり電話で会談した。トルドー氏の退任を控え、米側が申し出て「昔話をするため」(米政権関係者)に設定されたが、すぐに関税や合成麻薬フェンタニルの米国流入を巡る激しい応酬に発展。怒鳴り声と下品な言葉が飛び交ったとされる。
 会談翌日、トルドー氏は「ドナルド(トランプ氏)とは8年以上も仕事をしてきた。予想もしないようなことが起きても前進する方法を見つけてきた」と報道陣に説明した。親密さを示す表現ではなく、トランプ氏個人へのメッセージだと強調する意図を込めて、「ドナルド」とファーストネームで呼んだと受け取められている。
 カナダに対するトランプ氏の厳しい姿勢の背景に、第1次政権時代から募るトルドー氏への個人的恨みがあるのではないかと見る向きは多い。
 カナダで開催された2018年のG7首脳会議後、トランプ氏は米国の関税措置を非難したトルドー氏を「誠意のない軟弱者」とSNSで罵倒した。19年には北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の関連行事で、トルドー氏が英仏首脳らとトランプ氏を物笑いの種にしているとみられる映像が拡散。トランプ氏はトルドー氏を「二枚舌だ」と批判した。
 多様性推進などリベラルな政策を掲げたトルドー氏と不法移民対策を重視するトランプ氏は、政治的にも性格的にも水と油だった。24年の大統領選で返り咲きを決めて以降、トランプ氏は「カナダは米国の51番目の州になるべきだ」と繰り返し、トルドー氏を「州知事」とやゆ。SNS上では最近、トランプ氏が若いトルドー氏に嫉妬しているという冗談も出回っていた。 

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