アステラス社員に懲役3年6月=裁判所、「スパイ活動」認定―中国 2025年07月16日 12時57分

【北京時事】中国でスパイ罪で起訴されたアステラス製薬の60代の日本人男性社員の判決公判が16日午前(日本時間同)、北京市第2中級人民法院(地裁)で開かれた。同法院は男性がスパイ活動を行ったと認定し、懲役3年6月の有罪判決を言い渡した。
公判はメディアなどに公開されなかったが、金杉憲治駐中国大使ら在中国日本大使館職員の傍聴が許可された。終了後、記者団の取材に応じた金杉氏は「有罪判決が出されたことは極めて遺憾。引き続き早期釈放を強く求めるとともに、できる限りの支援を行っていく」と述べた。
金杉氏によると、公判は午前9時23分(同10時23分)に始まり、15分で終了した。男性の発言はなかった。判決は日本語にも訳され、男性は淡々とした様子で聞いていたという。日本大使館によると、判決ではスパイ活動の内容について具体的な説明はなかった。金杉氏は同日午後、男性と面会。健康状態に特に問題はなく、上訴については「弁護士と相談する」と述べたという。
アステラス製薬は「コメントは差し控える。関係機関と協力して適切に対応していく」(広報)としている。
男性は2023年3月、駐在任期を終えて帰国する直前に拘束された。24年8月に起訴され、同年11月に初公判が開かれた。
日本政府はこれまで、首脳会談や外相会談などの場で男性の早期解放を繰り返し求めてきた。だが、中国側は応ぜず司法手続きを進めた。