核抑止は「人類救えず」=被団協、米会合で訴え 2025年07月17日 07時28分

日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の和田征子事務局次長=2024年10月、東京都(EPA時事)
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の和田征子事務局次長=2024年10月、東京都(EPA時事)

 【ワシントン時事】昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の和田征子事務局次長は16日、米シカゴで開かれた核廃絶に関する科学者の会合でビデオ演説し、「核抑止力は人類を救えない」と訴えた。世界の政策決定者に、核廃絶に向けて指導力を発揮するよう求めた。
 演説は英語で行われた。和田さんは「われわれは若者に語り掛け、自らの体験を伝えていくことで、世論を喚起する活動を行っていく」と強調した。
 和田さんはまた、日本国内で米国の核兵器を配備する「核共有」の議論が浮上していることにも言及。「原爆の被害を受けた唯一の国だと主張する日本が、加害国になりかねない」と批判した。
 2004年にノーベル物理学賞を受賞したカリフォルニア大サンタバーバラ校のデービッド・グロス教授は「(演説は)とても感動的だった。われわれが議論しているのは人間の命に関わることだと気付かされた」と感想を述べた。
 会合には著名な科学者らが参加。ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルとイランの交戦などを受け、核拡散リスクの高まりを懸念する声が相次いだ。 

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