ガザ「完全占領」、閣議で議論=住民・人質の被害懸念―軍が反対・イスラエル 2025年08月08日 01時26分

パレスチナ自治区ガザで避難する人々=5月19日、ガザ北部ジャバリヤ(AFP時事)
パレスチナ自治区ガザで避難する人々=5月19日、ガザ北部ジャバリヤ(AFP時事)

 【カイロ時事】イスラエルのネタニヤフ首相は7日、パレスチナ自治区ガザでの軍事作戦に関する新たな方針を決定するため、エルサレムで治安閣議を開いた。地元メディアによれば、ネタニヤフ氏はガザの「完全占領」を目指す意向を示しており、閣議で承認を得たい考えだ。だが、ガザ住民の被害が拡大することは避けられず、イスラエルに対する国際的な批判がさらに高まりそうだ。
 閣議は7日午後6時(日本時間8日午前0時)ごろに始まった。イスラエルのメディア「ワイネット」によると、ネタニヤフ氏は閣議で、ガザの中心都市ガザ市や中部の難民キャンプを含め、ガザ全域を占領する計画案を諮る。作戦期間は4~5カ月間に及ぶという。ネタニヤフ氏の案に軍から反対意見が出ており、閣議は深夜まで続く可能性がある。
 同案を強行すれば、ガザ市で暮らす約100万人の住民が南部への移動を迫られる。国連などは住民の強制移動は国際法違反だと指摘しており、イスラエルへの非難が一層広がることは必至だ。また、ネタニヤフ政権はイスラム組織ハマスが拘束する人質がいるとされる地域にも進軍する方針だと伝えられている。人質に危害が及びかねず、家族らは反対の声を上げている。
 完全占領計画には、軍トップのザミール参謀総長ら軍幹部も反対している。作戦拡大で多くの兵士が犠牲になったり、人質が危険にさらされたりする事態を懸念しているためだ。
 ザミール氏は5日、ネタニヤフ氏ら政権幹部と会談し、ガザの作戦について複数の案を提示した。ザミール氏は「(完全占領)作戦は間違いだ」と言明。ガザ市の包囲にとどめるなど、段階的なアプローチを進言したものの、ネタニヤフ氏は拒否したという。 

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