物議の西岸入植計画推進へ=「パレスチナ国家承認」に対抗―イスラエル 2025年08月15日 14時09分

【カイロ時事】イスラエル極右政党党首のスモトリッチ財務相は14日、国際社会の批判を受けて凍結していた占領地ヨルダン川西岸の一部地域での入植計画を進める意向を表明した。ロイター通信などが報じた。英仏などが最近、相次ぎパレスチナ国家を承認する方針を示したことへの対抗措置。国連などからは早速批判の声が上がっている。
対象地域は「E1」と呼ばれる地区。E1が入植地になれば、パレスチナが将来の国土と見なす西岸と東エルサレムを分断する形となり、国家樹立が困難になる。西岸での入植は国際法違反で、専門家らは特にE1計画を批判してきた。イスラエルも米国などの圧力を受け、これまで入植地建設を控えていた。
スモトリッチ氏は、ネタニヤフ首相やトランプ米大統領も今回のE1建設案を支持していると指摘。「パレスチナ国家を承認しようとする世界の誰もがわれわれの答えを受け取る。文書や声明ではなく、家々や集落(の建設)といった事実だ」と主張した。
これに対し、国連のドゥジャリク事務総長報道官は「(パレスチナ国家樹立を認める)『2国家共存』実現の可能性がなくなる」と非難。パレスチナ当局も「国家樹立の機会を破壊しようとする占領者の試みだ」と憤った。欧州連合(EU)のカラス外交安全保障上級代表(外相)も声明で「国際法違反だ」とし、イスラエルに自制を求めた。