米厚生長官、逆風強まる=反ワクチンに共和党も懸念 2025年09月05日 14時22分

4日、ワシントンで上院公聴会に出席するケネディ米厚生長官(EPA時事)
4日、ワシントンで上院公聴会に出席するケネディ米厚生長官(EPA時事)

 【ワシントン時事】ワクチン懐疑論者のケネディ米厚生長官に対する逆風が強まっている。感染症対策を指揮する疾病対策センター(CDC)のモナレズ前所長の解任が引き金となった。4日に開かれた上院財政委員会の公聴会では、野党民主党だけでなく、与党共和党からも懸念の声が上がった。
 ケネディ氏は公聴会で、モナレズ氏解任を巡って「絶対的に必要だった」「信頼できない人物だ」などと主張し自己弁護した。ワクチン政策を巡って科学者のモナレズ氏と対立していた。
 モナレズ氏は4日のウォール・ストリート・ジャーナル紙(電子版)への寄稿で「私は政治思想よりも科学的証拠を優先する信念を貫いたため、解任された」と明らかにした。さらに、ケネディ氏の反ワクチン政策によって「米国の子供たちはもっと大きな代償を払うかもしれない」と警鐘を鳴らした。
 足元の厚生省も揺らいでいる。ケネディ氏の辞任を求める公開書簡に、1000人以上の省職員(元職含む)が署名した。医師や看護師の団体からも辞任要求が相次いでいる。
 公聴会では、野党民主党や無所属の議員らがケネディ氏に集中砲火を浴びせた。同時に、共和党からも「懸念は深まっている。安全性が証明されたワクチンが脅かされ、数十年の進歩が逆行しかねない」(バラッソ上院議員)などと批判が出た。
 トランプ大統領は4日、「公聴会は見ていないが、彼は優れた人物だ」とケネディ氏を擁護した。ただ、トランプ氏は政権1期目、新型コロナウイルスワクチンの開発を推進する「ワープスピード作戦」を主導した。共和党のキャシディ上院議員は公聴会で、トランプ氏のワクチン開発への貢献を「ノーベル賞に値する」と称賛したが、ケネディ氏がそれに賛同すると、「驚きだ。明らかに矛盾している」とあきれた表情で語った。 

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