豪、米との連携維持に腐心=日本含む多国間協力を左右 2025年09月05日 17時01分

護衛艦「みくま」艦上で共同記者会見に臨む中谷元防衛相(右)とオーストラリアのマールズ国防相=5日、神奈川・海上自衛隊横須賀基地(EPA時事)
護衛艦「みくま」艦上で共同記者会見に臨む中谷元防衛相(右)とオーストラリアのマールズ国防相=5日、神奈川・海上自衛隊横須賀基地(EPA時事)

 【シドニー時事】日本とオーストラリア両政府は5日の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で、日豪の安全保障協力強化に加え、米国やインドなどを含む多国間協力の推進を確認した。だが、トランプ米政権が米英豪の安保枠組み「AUKUS(オーカス)」に基づく豪軍への原子力潜水艦配備計画の見直しを進めるなど、米豪関係には不透明感も漂い、豪政府は連携維持に腐心している。
 豪政府は8月、次期海軍フリゲート艦新造計画で、米軍と共通の装備を搭載できる海上自衛隊護衛艦「もがみ」改良型を選定した。これを受け、2プラス2では日米豪の相互運用能力を高める方針を表明。また、日米豪と4カ国枠組み「クアッド」を構成するインドのほか、韓国、フィリピン、太平洋島しょ諸国などと多層的な協力を進めることでも一致した。
 だが、「米国第一」を唱えるトランプ政権は米海軍の調達を優先し、豪軍への米原潜売却や次世代原潜の共同開発を柱とするAUKUS合意を見直し中。豪政府に対し、国防費を対国内総生産(GDP)比で現行の約2%から3.5%に引き上げることも求め、揺さぶりをかけている。
 AUKUSは極超音速兵器や無人機、サイバー、宇宙分野などの先端技術協力を「第2の柱」に据え、日本など同志国の参画を視野に入れる。だが、幹となる米豪協力が停滞すれば、多国間連携の行方も左右しかねない。
 アルバニージー豪首相は5日、トランプ大統領と電話会談し、「建設的な話し合いができた」と説明した。今月の国連総会に合わせ初の対面会談を模索するが、豪政府がパレスチナを国家承認する方針を表明したことを巡り米側と距離ができており、難しいかじ取りを迫られている。 

海外経済ニュース