28日、モルドバ議会選=「ロシアが買収工作」と大統領 2025年09月27日 15時04分

旧ソ連構成国モルドバで28日、議会(定数101)選挙が行われる。モルドバを勢力圏にとどめたいロシアのプーチン政権は「北大西洋条約機構(NATO)が占領を計画中」(情報機関)と選挙直前に根拠なく主張。親欧米のサンドゥ大統領は、ロシアが票の買収工作を仕掛け、政権転覆をもくろんでいると危機感をあらわにしている。
モルドバは昨年、ロシア侵攻下の隣国ウクライナと共に欧州連合(EU)加盟に向けた交渉に入った。一方、国内はロシア語話者も多く、世論は親欧米と親ロで二分されている。
サンドゥ氏は22日、国民向けに緊急のビデオ演説を行い、「主権、独立、領土一体性、欧州の未来が脅威にさらされている」と強調。ロシア発の偽情報や混乱と暴力の扇動に警戒を促した。
モルドバ当局は同日、議会選に際して騒乱を企てたとして70人以上を拘束し、武器などを押収した。西側メディアによると、親ロ派は議会選で与党勝利なら「不正選挙」と訴える計画という。親ロ派の「デモ」は、2014年のウクライナ南部クリミア半島併合でプーチン政権が用いた手法だ。
ロシアの宣伝戦を担う対外情報局(SVR)は23日、モルドバでの動きに対抗して声明を発表。「サンドゥ政権の選挙結果改ざんにより、住民が街頭に繰り出す」事態になると警告し、NATO支援の下で「弾圧」が強まると親ロ派の不安をあおった。
こうした中、かつて政界を牛耳り、国際手配中だった大富豪プラホトニュク氏がギリシャで拘束され、25日にモルドバに移送された。大手銀行から巨額資金が消えた事件に関与し、ロシア逃亡中の野党指導者ショル氏とのつながりが指摘されている人物で、身柄移送は親ロ派をけん制する狙いがありそうだ。
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