仏下院、新内閣の不信任案否決=18票不足、総選挙遠のく 2025年10月16日 19時16分

16日、不信任決議案の採決が行われたフランス国民議会の議場に入ったルコルニュ首相(ロイター時事)
16日、不信任決議案の採決が行われたフランス国民議会の議場に入ったルコルニュ首相(ロイター時事)

 【パリ時事】フランス国民議会(下院、定数577)は16日、少数与党体制で12日に発足した第2次ルコルニュ内閣の不信任決議案を賛成少数で否決した。解散・総選挙の可能性はひとまず遠のき、ルコルニュ首相の辞任、再任で生じた混乱は収束に向かいそうだ。
 採決結果は賛成271票と、可決に必要な過半数(289票)に18票届かなかった。不信任案を提出した急進左派野党は、マクロン大統領によるルコルニュ氏の再任が「追い詰められた中での究極の挑発」だと批判。極右や環境政党が同調したが、中道左派・社会党と保守・共和党の賛成は一部にとどまった。
 ルコルニュ氏は投票に先立つ討論で、議員が選ぶのは「議論か、政治危機か」だと主張。国民のために安定を優先するよう訴えた。極右が提出した別の不信任案は他党の協力を得られず、賛成144票で否決された。
 マクロン政権は社会党に譲歩し、2023年に強行した年金改革の停止を表明。これで不信任案否決の流れができた。ただ、同党は緊縮型の26年予算案に不満で、さらなる妥協を内閣に要求。与党・中道連合との連立関係を解消した共和党は左傾化する政権への反発を強めており、今後の行方は不透明だ。 

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