対イラン制裁復活=核合意瓦解、歯止め失う―不拡散体制が危機 2025年09月28日 09時13分

イラン最高指導者ハメネイ師=23日、テヘラン(同師の公式サイトより)(AFP時事)
イラン最高指導者ハメネイ師=23日、テヘラン(同師の公式サイトより)(AFP時事)

 【ベルリン、ニューヨーク時事】2015年の核合意で停止した対イラン国連制裁が28日、復活した。核開発に歯止めをかけてきた核合意が瓦解(がかい)し、イランの核問題は新たな局面を迎えた。外交的解決の機会が遠のき、敵対する米国やイスラエルとの緊張激化は避けられない。イランが核拡散防止条約(NPT)の離脱に動く可能性もあり、不拡散体制が危機にひんしている。
 核合意以前に科されていた制裁が復活する「スナップバック」と呼ばれる合意の規定に基づき、▽武器取引や金融の制限▽核開発に関わる個人・団体の資産凍結▽ウラン濃縮・核ミサイル関連機器の禁輸―などが再び発動した。ただ中国が原油の購入でイランを支えており、既に米国の厳しい制裁下にあるイラン経済にとって影響は限定的とみられる。
 英仏独は28日、再発動を歓迎する共同声明を発表。「全ての加盟国に制裁の実施を強く求める」と呼び掛けた。一方で「制裁の再適用は外交の終わりではない」と強調し、関係各国と連携して今後もイランとの交渉を続ける考えを示した。イランには、緊張激化につながるいかなる行為も慎むよう求めた。
 英仏独はイランの合意不履行を理由にスナップバックを主導。制裁復活を先送りする条件として、核査察の全面的受け入れや米国との協議再開をイランに迫ったが、十分な譲歩を引き出せなかった。イラン側は「圧力には屈服しない」(最高指導者のハメネイ師)と核開発を継続する意向で、新たな核施設建設の動きもある。 

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