欧米では「完全にアート」=漫画展に出展のヤマザキマリさん 2025年09月28日 09時20分

米西部カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の「アート・オブ・マンガ」展に出展した漫画家ヤマザキマリさん=24日
米西部カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の「アート・オブ・マンガ」展に出展した漫画家ヤマザキマリさん=24日

 【サンフランシスコ時事】米西部カリフォルニア州サンフランシスコで27日始まった「アート・オブ・マンガ」展に作品を出展した漫画家のヤマザキマリさんが同日までに、時事通信のインタビューに応じた。国内外で評価される作品を送り出すヤマザキさんは、漫画は「欧米では完全にアート」として扱われており、新たな視点を持って表現することが必要だと強調した。主な一問一答は次の通り。
 ―今回の展覧会の意義は。
 外国人が受け入れる漫画とは何かや、ポピュラーメディアと芸術のはざまにある作品とはどういうものかが非常によく分かる展覧会だ。手描きの作品が多く、作家の人間性や文化度の高さが原画を通じて伝わってくるので、そういった視点で見てほしい。
 ―日本と海外で扱いの差は感じるか。
 日本では漫画はあくまでサブカルチャーだが、欧米では完全にアートと思われている。編集者や出版社の漫画家に対する扱いも違う。表現作品に対する価値観が日本と欧米で共有し切れていないところがある。
 ―漫画が世界で羽ばたくために何が必要か。
 海外でどう見られるかという視点を持つ必要がある。日本のやり方や考え方が間違っているという話ではないが、インターネットであっという間に海外とつながる時代において、柔軟に変化と向き合い、適応する思想を持たないといけない。
 

 ◇ヤマザキマリ氏略歴
 ヤマザキマリ氏 84年にイタリアに渡り、国立フィレンツェ美術学院で油絵と美術史を専攻。10年に「テルマエ・ロマエ」で手塚治虫文化賞短編賞、24年に「プリニウス」で同賞マンガ大賞。東京都出身。58歳。 

海外経済ニュース