米、核交渉展望開けず=再び緊張激化恐れも―イラン制裁 2025年09月28日 14時08分

【ワシントン時事】対イラン国連制裁の復活に伴い、トランプ米政権は核開発放棄に向けて圧力を強め、外交的解決を目指す構えだ。だが、米国による6月の核施設への空爆を受け、イラン側は強硬姿勢を崩していない。交渉再開への展望が開けず、軍事的な対立が深まる恐れもある。
ルビオ国務長官は米東部時間27日夜(日本時間28日朝)、制裁復活に合わせて声明を出し、「外交は依然として選択肢の一つだ。イランは誠意ある直接対話を受け入れるべきだ」と強調し、協議を通じた核問題解決を呼び掛けた。
トランプ大統領は第2次政権発足後、イランに対する「最大限の圧力」政策を再開し、追加制裁を繰り返し発動する一方で、高官級の核協議に乗り出した。交渉期間を2カ月と区切り、ウラン濃縮活動の完全放棄を要求。しかし、6月にその期限が切れると、イスラエルが先制攻撃に踏み切った。米国もそれに呼応するかのように空爆を行い、協議は頓挫した。
トランプ氏は今月23日、国連総会で演説し、「世界一のテロ支援国が最も危険な武器を保有することを決して許さない」と述べ、イランの核兵器保有を阻止する決意を再び示した。ただ、イランの核施設を破壊した米国の軍事力を誇示するだけで、歩み寄りの姿勢は示していない。
交渉再開の条件に再攻撃しない確約を求めるイランと、核開発を再開すれば攻撃すると警告する米側の溝は深い。ルビオ氏は声明で「イラン指導者に圧力をかけるため制裁を直ちに履行すべきだ」と述べ、各国に制裁順守を迫っている。
ルビオ氏は制裁復活に先立つ24日、ニューヨークで開いた会合で「イランは数年前に比べて重大な挑戦に直面している」と指摘していた。6月のイスラエルとイランの攻撃の応酬は12日間で収束したが、中東では緊張激化の火種はくすぶり続けている。