シスターが修道院「占拠」=ついの住み家を自ら決定―オーストリア 2025年09月29日 06時34分

【ベルリン時事】オーストリアで、高齢者施設に移されていた3人の修道女が、長年暮らしていた修道院に、司教区に無断で戻り話題になっている。「不法占拠」の状態だが、いずれも80歳以上の3人は「施設では死ねない」と語り、修道院をついの住み家とする覚悟だ。
3人は、オーストリア西部ザルツブルク近郊のゴールデンシュタイン修道院に所属していたベルナデッテさん(88)とレギーナさん(86)、リタさん(81)。司教区は2023年12月、健康上の問題を理由に3人を高齢者施設に入居させ、修道院はその後、実質的に閉鎖された。
修道院に併設されている私立学校で教師を務めていた3人は、かつての教え子に協力を依頼し、今月上旬に引っ越しを強行。一部始終を地元メディアに同行取材させ、世論を味方に付けた。司教区側は「容認できない。十分なケアを受けられる待遇だったのに」と困惑している。
支援者によると、3人は歩行器を使ったり介助を受けたりしながら修道院に到着。住人のいない修道院は荒れ果てていたものの、3人は「やっと家に帰れた」と満面の笑みを浮かべたという。
3人は現在、寄付金で生計を立てている。食卓を囲んだり、教会で聖歌を歌ったりする様子を写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿。人生の終え方を自ら決めようとする姿が共感を呼び、インスタグラムのフォロワーは5万人以上に達した。