ガザ停戦へ、外堀埋める=イスラム側視点で反発回避 2025年09月30日 18時18分

アラブやイスラム諸国の首脳らと会談するトランプ米大統領(中央)=23日、ニューヨーク(ロイター時事)
アラブやイスラム諸国の首脳らと会談するトランプ米大統領(中央)=23日、ニューヨーク(ロイター時事)

 【カイロ時事】トランプ米大統領が示したパレスチナ自治区ガザの和平に向けた20項目計画は、紛争当事者の反発を回避するため、アラブやイスラム諸国と入念に協議しつつ、外堀を埋めながら練られたもようだ。ただ、イスラエルとイスラム組織ハマス双方にとって受け入れ難い条件が残っており、合意は容易ではない。
 報道によれば、計画はブレア元英首相を中心に構想された。ブレア氏は8月下旬に訪米し、トランプ氏や、同氏の1期目に中東政策を担った娘婿クシュナー氏らと会談していた。
 トランプ氏は9月23日にニューヨークでエジプト、カタール、サウジアラビア、インドネシア、トルコ、パキスタン、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダンの首脳らと会談。計画を提示し、イスラム側の視点で内容を精査したとみられる。停戦交渉や戦後統治で重要な役割を担う中東諸国の「お墨付き」を得ることで、ハマスに逃げ道を与えない意図も透ける。
 イスラエルメディアによると、アラブ諸国やパレスチナ自治政府は停戦交渉で争点の一つとなっていたハマスの武装解除に関し、表現を和らげるよう求めた。
 発表された計画に「武装解除」の文字はなく、「軍事施設は破壊される」「武器を永久に使用できないようにする」と遠回しな表現が並ぶ。ただ、イスラエルは直前で「トンネルと武器製造施設」を破壊対象に盛り込ませたとされる。実質的な武力放棄をハマスが受け入れるのは難しそうだ。
 計画はまた、自治政府の組織改革が完了するまでパレスチナ人らによる暫定委員会がガザの統治を担うと規定した。戦後のガザ運営にパレスチナ自治政府が関与するのを拒絶してきたイスラエルに配慮した形だが、極右強硬派を抱えるネタニヤフ政権が承認するかも未知数だ。 

海外経済ニュース