米政府、７年ぶり閉鎖＝与野党対立で予算切れ―高官「秩序立った」実行指示 2025年10月01日 08時34分
【ワシントン時事】米連邦政府は１日、政府機関の一部閉鎖に追い込まれた。２０２５会計年度（２４年１０月～２５年９月）末を迎えたが、財政資金を確保するつなぎ予算案が与野党の対立で議会通過できず、９月３０日深夜に予算切れとなったため。政府閉鎖は、第１次トランプ政権時の１８年末から１９年初め以来約７年ぶりとなる。
ホワイトハウスのボート行政管理予算局（ＯＭＢ）長官は３０日、関係省庁トップに対し「秩序立った閉鎖」に向けた計画実行を指示した。今後は、閉鎖がいつまで続くかが焦点となる。最長は１９年初めまでの前回閉鎖で、３５日間に及んだ。
ジョンソン下院議長（与党共和党）はＣＮＮテレビのインタビューで「国民を苦しめるので、極めて短期となることを望む」と強調した。ただ、与野党の隔たりは大きく、「閉鎖の期間は予測困難」（ボート氏）なのが実情だ。
野党民主党はつなぎ予算案に、医療保険補助の延長や、トランプ大統領肝煎りの大型減税関連法で削られた低所得者向け医療支援の復活を盛り込むよう要求。上院トップのシューマー院内総務は議場で、２５年度の支出水準を維持する共和党案では「米最大の医療危機を解決できない」と訴えた。
予算案の上院通過には、議事妨害（フィリバスター）対策で民主党の協力が不可欠だ。トランプ氏と与野党の議会首脳は２９日、ホワイトハウスで協議したが、物別れに終わった。トランプ氏は３０日、記者団に「閉鎖中に大幅な職員削減など恒久的な措置ができる」と発言し、民主党への圧力を強めた。
これまでの政府閉鎖では、緊急性の低い部門の職員は自宅待機となり、その間の賃金は予算成立後に支払われていた。議会予算局（ＣＢＯ）の試算によると、閉鎖で約７５万人の職員が自宅待機となる可能性がある。職員を解雇すれば、未払い賃金の負担は減るが、社会への影響は大きい。米公務員労組は、政府閉鎖での職員解雇指示は違法だとして西部カリフォルニア州の裁判所に提訴した。