米依存から国防「自立」へ=対外援助削減に批判も―英 2025年02月28日 22時18分

【ロンドン時事】スターマー英労働党政権が国防予算を大幅に増額し、2027年までに国内総生産(GDP)比2.5%とする方針を打ち出した。将来的には3%を目指す。欧州の安全保障への関与に消極的なトランプ米政権が発足し、国防の在り方を米国依存から「自立」に転換することを迫られた形だ。ただ、財政事情は厳しく、増額分を対外援助削減で「穴埋め」するため、援助関係者から批判と懸念の声が上がっている。
現在の国防予算はGDP比2.3%で、増額の規模は「冷戦後で最大」(英メディア)になる見通し。スターマー政権は、軍備増強のほか国内防衛産業の増進、関連分野の雇用促進につながると唱えている。
スターマー首相は2月25日の記者会見で「ロシアのウクライナ侵攻開始以降の3年間、こうした決断は想定されていた」とし、増大する脅威に対抗するため不可欠な対応だと理解を求めた。一方で「過去数週間が私の考えを加速させた」とも述べ、欧州の負担増を求めるトランプ政権の「圧力」が方針決定の背後にあったと事実上認めた。
増額は、対外援助予算をGDP比0.5%から0.3%に引き下げることで補う。対外援助の4割がカットされる計算で、国内では賛否を巡り議論が噴出。最大野党で中道右派の保守党が同意する一方、中道左派の自由民主党は援助削減に反対し、大企業への増税などで資金を賄うよう主張した。
政権内でも意見が割れ、28日には反対派の開発担当閣外相が「援助削減は絶望的な立場に置かれた人々から食料や医療を奪うもので、英国の(対外的な)評価を著しく損ねる」として辞任を表明した。
世界有数のドナー国である英国が支援を大幅に削減すれば、途上国への影響は避けられない。国際NGOオックスファムは声明で「援助削減は『見せ掛けの節約』であり、最も弱い立場にいる人たちを裏切る結果となる」と強く批判。国連児童基金(ユニセフ)英国事務所も「(支援が届かず)生命が危険にさらされる」と警告した。