地域集中はリスク、再編「選択肢」=地銀特化で投資―「ありあけ」代表 2025年07月30日 15時43分

インタビューに答える、ありあけキャピタルの田中克典代表=23日、東京都中央区
インタビューに答える、ありあけキャピタルの田中克典代表=23日、東京都中央区

 地方銀行に特化した投資ファンド「ありあけキャピタル」(東京)の田中克典代表は、時事通信のインタビューに応じ、「『地域集中』が地銀の最大のリスクだ」と述べた。特定の産業に依存しない事業構造を構築することが重要だと指摘。自然災害なども含め、こうしたリスクを緩和するためには、再編が「一つの選択肢になる」との認識を示した。
 田中氏はゴールドマン・サックス証券出身で、2020年にありあけキャピタルを設立。今年3月、投資先だった千葉興業銀行の株式約19.9%を、同じく千葉県を地盤とする千葉銀行に売却。その後、両行は経営統合する方向で調整を進めている。
 ありあけの投資先に金融機関を選んだ理由として、「預金者保護だけを追求するのではなく、『リスクを取って成長してほしい』という株主によるガバナンス(企業統治)が作用するようになってきた」ためだと語った。日銀の利上げによって、貸出金利が上昇したことも、地銀が事業規模の拡大を目指す誘因になると分析した。
 地銀の経営については、「人件費を含む経費率をどうコントロールするかがポイントになる」と強調。遠隔地に拠点を持つ「飛び地」の地銀同士でも、「システム統合などでコストを落とせるなら、再編には意味がある」とした。
 一方、千葉興銀株の売却理由に関しては、「(ありあけが求めていた)住宅ローン事業の見直しは達成された」と説明した。その上で、「次の課題である経費率をどう下げるかに関しては、リアルなパートナーと議論した方がいいと考えた」と語った。
 ありあけキャピタルは千葉興銀のほか、スルガ銀行や池田泉州ホールディングス、滋賀銀行への投資実績がある。 

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