イラン、対イスラエル報復間近か=無人機やミサイルで同時攻撃も―米報道 2024年04月12日 17時35分
【イスタンブール時事】米CBSニュースは12日、複数の米当局者の話として、イランが同日中にも在シリア・イラン大使館空爆に対する報復措置に踏み切る恐れがあると伝えた。イスラエル領内の軍事基地などを無人機100機以上と数十発のミサイルで攻撃する可能性があるという。
米国などは緊張悪化を懸念し、イランに自制を促しているが、イランは大使館空爆についてイスラエルによる攻撃と断定しており、説得に応じるのは難しい情勢だ。イスラエル領内にミサイルが着弾し被害が出れば、同国も反撃する公算が大きく、中東の緊張激化は必至だ。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)も11日、イスラエル中部ハイファや核施設がある南部ディモナ、シリアと接する占領地ゴラン高原などがミサイル攻撃の標的となる可能性があると報じた。ただ、イランの最高指導者ハメネイ師は、イスラエルの大規模反撃のリスクを踏まえ、最終決定を下していないという。
イスラエルはイランの脅威を警戒し、ミサイルの迎撃態勢を整えている。昨年11月には初めて実戦で防衛システム「アロー3」を使用し、イエメン武装組織フーシ派が撃ち込んだとされる弾道ミサイルの迎撃に成功。ネタニヤフ首相は11日、「防衛と攻撃で全ての必要を満たす備えをしている」とイランを念頭に警告した。
米国は中東や欧州各国にイランを説得するよう働き掛けている。10日にはサウジアラビアやイラクなどアラブ諸国、11日は英国やドイツ、オーストラリアの外相らが、イランのアブドラヒアン外相と相次ぎ電話で協議。米ニュースサイト「アクシオス」によると、イラン側は報復に関し「正当な自衛権」と主張しつつ、規模は「限定的」になると述べたという。
ブリンケン米国務長官も10日以降、トルコや中国、サウジなどイランと関係を持つ主要国の外相との電話で「緊張激化はイランや地域の誰の利益にもならない」(国務省報道官)と訴えた。ロイター通信は、アブドラヒアン氏が橋渡し役のオマーンを通じ、事態の大幅な悪化を避ける方法で報復する意向を米側に示唆したと伝えた。