南シナ海巡る「密約あった」=中国、フィリピンに揺さぶり 2024年04月22日 19時31分
【北京時事】中国政府が、フィリピンと領有権を巡って争う南シナ海に関して「密約があった」と繰り返し発信している。中国側はドゥテルテ前政権だけでなく、マルコス現政権との間でも結んだと主張しており、日米と連携し、対中強硬姿勢を強めるマルコス政権を揺さぶる思惑がありそうだ。
問題の「密約」を巡っては、フィリピン紙が3月、匿名の中国高官の証言としてその存在を報じ、比国内で物議を醸した。中国に融和的だった前政権下で結ばれ、比側による南シナ海・アユンギン(仁愛)礁への建築資材の持ち込みを制限する内容とされる。
マルコス政権は密約には関知していないと説明。しかし、中国外務省の汪文斌副報道局長は22日の記者会見で「比前政権と現政権、いずれの期間にも合意(密約)は存在した」と述べ、比側に順守を求めた。
これに先立ち、在フィリピンの中国大使館は18日、比前政権との間で「紳士協定」を結んでいたと指摘した上で、今年初めにマルコス政権とも「新たなモデル」を取り決めたと強調する報道官コメントを発表。比側が一方的に合意を破棄したとも主張した。
アユンギン礁付近では昨年以降、中国海警局による比船への妨害行為が多発。中国船による放水銃の使用や体当たりで比側に負傷者も出ており、両国関係は急速に悪化している。