習政権、海軍力増強=創設75年で発展誇示―汚職、戦闘力に影響か・中国 2024年04月23日 16時50分

一般公開された中国軍のミサイル駆逐艦「貴陽」の前で写真を撮る子供=20日、山東省青島(AFP時事)
一般公開された中国軍のミサイル駆逐艦「貴陽」の前で写真を撮る子供=20日、山東省青島(AFP時事)

 【北京時事】中国海軍は23日、創設から75年を迎えた。海軍力増強を進める習近平政権は、ミサイル艦などを公開し、装備・戦力の発展を誇示。3隻目の空母「福建」も近く試験航海を行うとみられている。一方、汚職が軍全体にはびこっており、習国家主席が期待するほど戦闘能力は向上していないという指摘がある。
 軍は23日に先立ち、山東省青島の埠頭(ふとう)で052D型ミサイル駆逐艦「貴陽」や051C型「石家荘」を一般公開。軍事専門家は国営テレビの取材に「貴陽の武器装備は海軍の中でも最高の状態だ」と胸を張った。
 軍艦の乗員養成機関も海外メディアに公開され、海上から島に上陸することを想定した訓練が披露された。香港メディアによれば、台湾侵攻を念頭に置いた訓練か問われたのに対し、軍教官は「いかなる目標も対象にしたものではない」と説明した。
 空母「福建」は試験航海に向けた最終段階の準備が行われているとされる。今月16日には、甲板に艦載機の模型とみられるものが設置された画像がSNSで広まった。福建は効率的に艦載機を射出する電磁カタパルトを採用しており、駐機位置の確認が行われた可能性がある。3月には、軍高官が4隻目の空母を建造中だと明言した。
 軍拡方針を鮮明にしている習政権だが、軍内では装備品に関連した深刻な汚職疑惑が取り沙汰され、事実上の更迭人事が相次いでいる。昨年10月には国防相だった李尚福氏が解任され、年末にはロケット軍の前司令官ら軍高官9人が全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の代表職を解かれた。
 装備品の不正を巡り、米メディアは米情報機関の分析として、中国軍のミサイルに燃料ではなく水が注入されていた事例があると報道。軍に対する習氏の信頼が低下しているとされ、軍機関紙は頻繁に綱紀粛正の徹底を求めている。 

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