平穏戻るか不透明=レバノン停戦、実効性に懐疑論も 2024年11月27日 07時27分

26日、イスラエル軍の空爆を受け、煙が上がるレバノンの首都ベイルート(EPA時事)
26日、イスラエル軍の空爆を受け、煙が上がるレバノンの首都ベイルート(EPA時事)

 【カイロ時事】イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘を巡り、イスラエルとレバノン両政府が停戦合意に至ったものの、実効性には懐疑的な見方が出ている。停戦が発効しても、イスラエルとヒズボラの敵対関係は続く。イスラエル紙ハーレツは、ヒズボラに対処するには「レバノン政府とその軍は弱い」と指摘。平穏が取り戻せるかは未知数だ。
 イスラエル軍による首都ベイルートを含むレバノン各地への空爆で、大きな損害を被ったヒズボラは「長期戦も可能」と徹底抗戦の構えを示しつつも、停戦へと傾斜した。再起のための「余力」があるうちに戦闘停止を実現したい思惑があるとみられる。
 一方、イスラエルのネタニヤフ首相は、避難を余儀なくされた同国北部住民の安全な帰還を実現すると約束。しかし、レバノン軍をしのぐ軍事力を持つとされるヒズボラを「壊滅」に追い込むことは事実上不可能で、住民帰還のためにはヒズボラとの停戦合意が必要だった。
 イスラエルは2006年にもヒズボラと衝突し、レバノンに侵攻した。当時はイスラエル軍とヒズボラ双方がレバノン南部から撤退することなどを盛り込んだ国連安保理決議に基づき停戦。しかし、ヒズボラはその後も決議に違反し南部で軍事力を増強してきた経緯がある。このため、この決議を土台に実現した今回の停戦も履行が徹底されるかは不透明だ。
 また、ネタニヤフ氏はヒズボラが合意違反をした場合に攻撃すると表明。ヒズボラが武器密輸など不穏な動きを見せれば、イスラエルが先制攻撃することも想定され、停戦合意が有名無実化する恐れがある。 

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