南北統一で大胆な施策可能に=ASEAN加盟も実現―日越大学長 2025年04月29日 14時27分

日越大学(ハノイ)学長を務める古田元夫東大名誉教授(現代ベトナム史)は時事通信の取材に、ベトナム戦争終結による南北統一が、ベトナムのその後の歩みに「決定的な影響を与えた」と強調した。具体的には経済政策の大幅変更や、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟を挙げた。
古田氏は、南北の統治機構が一本化したことによって、大胆な施策にかじを切ることができたと分析。これが市場経済システムを取り入れた1980年代の「ドイモイ(刷新)政策」導入につながり、経済発展の端緒となった面があるとの見方を示した。
また、南北それぞれが外交上のパートナーを求める状況では、ASEAN加盟が難しかったと指摘。「東南アジアが世界政治で大きな位置を占めるのは、ASEANが地域を包摂しているからだ」と述べ、統一したことでベトナムのASEAN加盟が可能になり、加盟よってASEANの発展に貢献したと説明した。
ベトナムは近年、グローバルサウス(新興・途上国)の一角として、米中を含む諸国と友好関係を築いている。ベトナム戦争は人々の間にわだかまりも残したが、古田氏はそうした分断を解消したいと考える若者も出てきていると説明。「そういう若者に期待したい」と語った。