不明者家族「早く会いたい」=ビル崩落の責任追及本格化―ミャンマー地震1カ月・タイ 2025年05月01日 05時23分

【バンコク時事】ミャンマー中部を震源とする地震の影響で建設中のビルが崩落した隣国タイの現場では、1カ月以上が経過しても不明者の捜索が続き、家族らは「早く会いたい」と訴えている。タイ当局は、崩落の原因究明と責任追及を本格化させている。
3月28日の地震で、震源から約1000キロ離れたタイの首都バンコクでも大きな揺れが発生。建設中だった約30階建ての政府庁舎が崩落し、4月30日時点で作業員68人が死亡、26人の行方が依然不明となっている。
現場で当時働いていた約100人のうち、約30人はミャンマーからの出稼ぎ労働者だった。不明者の一人で同国東部カイン(カレン)州出身の男性ソーオンイエスさん(33)は、国軍と抵抗勢力の内戦が続く祖国では仕事がなく、1年前にタイに来て電気技師として働いていた。
17年前からタイに住む姉のナアエタさん(42)は地震発生直後から現場を毎日訪れ、バンコク当局が設置したテントでボランティアらの支援を受けながら捜索を見守っている。「弟の死を受け入れ始めている。できるだけ早く会って、葬儀をしたい」と語った。
作業員の一人でタイ人女性のフォンさん(17)は、現場で一緒に働いていた交際相手の男性(18)が見つかっていない。「1カ月たっても、ビルが崩れた時を思い出すと怖い。愛する人がまだ閉じ込められていてつらい」と話した。
崩落したビルを巡っては、基準を満たさない強度の鉄筋が使用されていた疑いの他、エレベーターの昇降路の壁が設計時より薄かった問題が指摘されている。タイ政府は原因究明に当たる専門家の委員会を設置。並行して、施工を担当した中国国有企業の現地法人幹部を一時拘束するなど、刑事事件として捜査を進めている。
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