「トランプ節」まね本家挑発=加州知事のSNS戦略話題―米 2025年08月21日 14時25分

「トランプ風」の文体で挑発する米西部カリフォルニア州のニューサム知事の投稿(知事広報室のX=旧ツイッター=アカウントより・時事)
「トランプ風」の文体で挑発する米西部カリフォルニア州のニューサム知事の投稿(知事広報室のX=旧ツイッター=アカウントより・時事)

 【ワシントン時事】米西部カリフォルニア州のニューサム知事がトランプ大統領の文体をそっくり模倣し、面白おかしく挑発するSNS戦略で話題を集めている。ニューサム氏は民主党の次期大統領候補に取り沙汰される一人。国政への野心に加え、知的さや上品さばかりでは大衆の共感を得られないとの危機感も反映している。
 「ドナルド(・トランプ)は終わった」「全くのエネルギー不足」。感嘆符を多用し、全文を大文字で記したり、「本件への関心に感謝する!」と投稿を締めくくったりする点まで「トランプ節」をまねる徹底ぶりだ。トランプ氏は「くずニューサム」と不快感を示している。
 米メディアによると、ニューサム氏の広報室は「トランプ風」の投稿を始めた8月以降、X(旧ツイッター)アカウントで25万超の新規フォロワーを獲得。2028年大統領選の民主党候補にふさわしい人物を尋ねた米紙世論調査でニューサム氏がハリス前副大統領を上回るなど、戦略は奏功しているもようだ。
 奇抜な試みの背景には、米国に広がる「反エリート」の潮流がある。昨年の大統領選で、ハリス氏は激戦7州全てでトランプ氏に敗北。同党支持層は高学歴者に偏る傾向がみられ、都市部のエリートが政治を牛耳ることへの労働者階級の嫌悪感が敗因の一つに指摘された。ニューサム氏は党に闘う姿勢を求め、「弱々しい態度はやめろ」とハッパを掛けている。
 デジタル時代にSNSでの効果的な発信は不可欠だが、好戦的な態度は「返り血」を浴びる恐れもあり、パロディー戦略の持続性は不透明だ。それでも、政治専門紙ポリティコは、ニューサム氏が「共和党の神経を逆なでするだけでなく、トランプ時代の野党として民主党を再定義する可能性もある」と伝えている。 

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