「生きているうちに核廃絶を」=被爆者、NPT準備委で訴え 2025年05月01日 07時47分

【ニューヨーク時事】2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けて米ニューヨークで開催中の第3回準備委員会で4月30日、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の金本弘代表理事(80)が演説し、「被爆者は生きているうちに核兵器廃絶をと強く願っている」と述べ、核軍縮の取り組みを急ぐよう訴えた。
金本さんは生後9カ月の時に広島の爆心地から2.5キロ地点で姉と共に被爆。がれきに埋もれ、血まみれになったところを父親に助けられたと当時の経験を語り、「広島は一瞬にして死の街となった」と原爆の恐ろしさを伝えた。
NPTは米ロ英仏中の核保有国に核軍縮交渉を義務付けているが、5年に1度開かれる再検討会議は過去2回決裂に終わっている。金本さんは「いつまでも進展のないまま議論を続けるのか」と各締約国に問いかけ、日本政府に対しては「唯一の戦争被爆国として世界をリードするよう求める」と呼び掛けた。
会合では広島市の松井一実、長崎市の鈴木史朗両市長も発言。松井氏は「核保有や核共有が国の安全保障に有効だという考えが広まっているが、(核不拡散を定める)NPTの原則に背くものだ」と批判。鈴木氏は「長崎を最後の被爆地にしなければならない」と強調した。
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