保守派の一本化焦点=残る尹氏の影、中道層支持が課題―韓国大統領選 2025年05月02日 19時43分

2日、ソウルの韓国国会で記者団の取材に応じる韓悳洙前首相
2日、ソウルの韓国国会で記者団の取材に応じる韓悳洙前首相

 【ソウル時事】韓国の韓悳洙前首相が大統領選への出馬を表明したことを受け、保守系与党「国民の力」の候補者らとの一本化に向けた調整が本格化する見通しだ。ただ、韓氏は選挙のカギを握る中道層から大きな支持を得ているとは言い難い。革新系最大野党「共に民主党」の李在明前代表に対抗するには保守派の結束が不可欠だが、韓氏が主軸となれるかは未知数だ。
 1日発表の「全国指標調査」によると、次期大統領にふさわしい人物としての李氏の支持率は42%で、他の候補者を大きく引き離す。韓氏は13%で李氏に続く。
 韓氏は保守、革新いずれの政権でも要職を歴任し党派色が薄い。尹錫悦前大統領による「非常戒厳」宣言も引き留めたとされる。豊富な行政経験で対米外交や経済に通じていることもあり、与党内には戒厳宣言に厳しい視線を向ける中道層の支持を獲得できると期待する向きがある。ただ、尹氏を首相として一貫して支えた事実は動かし難く、現時点では韓氏に好感を持てると回答したのは中道層の28%にとどまる。
 韓氏は2日の記者会見で保守と革新の対立を乗り越え「国民の統合を約束する」と強調した。一方、会見には尹政権の高官経験者や元与党幹部、大統領府出身者らが顔を出し、尹氏を支持する青年たちも押し掛けた。尹氏の影が色濃く残る。
 国民の力は3日の党大会で韓東勲前代表か金文洙前雇用労働相のいずれかを公認候補に選出。本選の候補者登録は10、11日に行われ、12日からは公式選挙運動が始まる。短期間で一本化にこぎ着けられるかが焦点となる。
 金氏は2日、韓前首相の出馬表明を受け「近くコミュニケーションを取る」と、一本化に前向きな姿勢を見せた。これに対し、韓前代表は「(自分以外は)李在明(氏)の(共に)民主党を破れない」と譲歩しない構えだ。
 与野党二大政党の候補の他に、若年層に人気の高い保守系少数野党「改革新党」の李俊錫議員も出馬を予定。李議員は李在明氏の当選を阻止するための保守一本化という議論は「政治家の都合だ」と語り、韓前首相との連携に否定的な認識を示している。 

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