日独、防衛協力深化も=対米不信で重要度増す―専門家 2025年05月06日 23時42分

ドイツのシンクタンク、国際安全保障研究所(SWP)アジア部門副部長のアレクサンドラ・サカキ氏=4月28日、ベルリン
ドイツのシンクタンク、国際安全保障研究所(SWP)アジア部門副部長のアレクサンドラ・サカキ氏=4月28日、ベルリン

 【ベルリン時事】ドイツのシンクタンク、国際安全保障研究所(SWP)のアレクサンドラ・サカキ・アジア部門副部長は6日までに時事通信の取材に応じ、メルツ新政権下で、日独の防衛協力が深化するとの見方を示した。トランプ米政権が国際協調を乱す中、「本当に価値観を共有しているパートナーと協力する必要があるとの意識が高まっている」と指摘。日本の重要度が増していると分析した。
 ドイツは近年、貿易の多角化や中国の覇権主義をけん制する意図から、インド太平洋への関与を強め、日本に軍艦や戦闘機を派遣してきた。新外相には日本との政治交流経験が豊富なワーデフール氏が就任。サカキ氏は「ワーデフール氏は日本を重視するだろう」と述べ、この方針が継続されると予想する。
 今後の協力分野として、防衛産業や経済安全保障に着目。「米国をどれほど頼れるか分からない状況で、両国が力を合わせることは理にかなっている」と強調した。また、法と秩序、自由貿易体制といった共通の価値観を守るため、他の欧州やアジア諸国とともに「共同行動計画」や「トランプ氏への共通メッセージ」といった一致した対応が必要になると指摘した。
 ドイツは中国との経済的な結び付きが強かったが、近年は依存脱却を課題に据えており、メルツ氏も対中強硬派とみられている。ただ、トランプ政権発足で風向きが変わり、「米国より中国の方が予測可能で合理的にみえる」との見方が出ているという。サカキ氏は「新政権が抵抗しなければならない誘惑だ」と警告した。 

海外経済ニュース