狙いは干渉防止と早期選出=密室投票のコンクラーベ―ローマ教皇 2025年05月07日 15時21分
【バチカン市時事】カトリック教会トップのローマ教皇を決める「コンクラーベ」は、世界中の高位聖職者・枢機卿をバチカン市に呼び寄せ、密室で行う選挙だ。有権者を選挙会場に閉じ込めることで外部からの干渉を防止し、教皇を速やかに選出する狙いがある。
もともと教皇は聖職者と信徒らで選んでいた。しかし、11世紀に入って枢機卿が選出する方式に変更。貴族など権力者からの働き掛けや圧力を排除するためだったが、介入は終わらなかった。
12世紀に教皇選出の要件として3分の2以上の支持が導入されると、選挙も教皇の空位もたびたび長期化。13世紀、史上最長の2年9カ月に及ぶ選挙を経て就任したグレゴリウス10世は、同じ事態が繰り返されないよう、現在のコンクラーベの基礎となるルールを制定した。
ローマ教皇庁の公式メディア「バチカンニュース」によれば、17世紀に無記名での投票を採用。さらに20世紀、パウロ6世が枢機卿の投票資格を80歳未満に制限するなど、さまざまな改良が加えられた。
選挙中、枢機卿は外部との接触をすべて絶たれる。投票会場のシスティーナ礼拝堂内はもちろん、バチカンの宿泊先でもスマートフォン、新聞、テレビ、インターネット、手紙はご法度だ。選挙情報の漏えいは固く禁じられ、不正投票は破門につながる。
20世紀以降、教皇選挙が長期化する事態は起きていない。選挙日数は最長で5日。今世紀の2005年と13年は、いずれも2日で決着した。