ガザへの食料搬入再開=攻撃は強化、「掌握」目指す―イスラエル首相 2025年05月19日 15時07分

【カイロ時事】イスラエル首相府は18日、食料不足が深刻化しているパレスチナ自治区ガザへの支援物資搬入を再開する方針を明らかにした。同国のネタニヤフ首相は19日、SNSに動画を投稿し、ガザでの人道状況の悪化が極限に達すれば「われわれは支持を受けられず、勝利を完遂できなくなる」と強調。国際社会の批判をかわし、軍事作戦拡大を続ける狙いがあるとみられる。
イスラエルはイスラム組織ハマスへの圧力を強める目的で3月初旬以降、物資のガザ搬入を阻止。「(ガザの人口の5分の1に相当する)47万人が極度の飢えに直面している」(国連)などと批判が高まり、イスラエルの後ろ盾であるトランプ米政権も懸念を示していた。
首相府は「ガザでの飢餓を防ぐため、住民に対する基本的な量の食料提供を認める」と説明した。ネタニヤフ氏は、ハマスに物資が渡らないよう「最終的には軍がガザ全域を掌握する」と表明。物資の配給に関し、米企業が業務を担い、イスラエル軍が物資の拠点を警護する仕組みを構築すると語った。国連は、イスラエルと米国が主導する配給は中立性が保たれないと警鐘を鳴らしている。
地上部隊を投入し、作戦拡大に踏み切ったイスラエル軍は19日、南部ハンユニスの住民に避難勧告を発出。「前例のない攻撃」を開始すると警告した。軍は過去24時間で、ガザ各地の標的160カ所以上を空爆。現地医療関係者はロイター通信に、18日夜から19日未明にかけての空爆で少なくとも20人が死亡したと述べた。
ロイターはまた、ガザ保健当局の話として、18日までの1週間で少なくとも464人が犠牲になったと伝えた。
停戦に向けたイスラエルとハマスの間接交渉は19日もカタールで続いているもようだが、進展は伝えられていない。
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