宇宙防衛演習に日本参加=同志国と衛星妨害対処―豪 2025年08月03日 05時50分

【タウンズビル(豪北東部)時事】オーストラリアでこのほど行われた宇宙防衛の多国間机上演習に日本の航空自衛隊が参加した。宇宙領域で中国やロシアが軍事技術の開発を進める中、衛星を妨害する行為への対処訓練を米豪軍などと行い、同志国との連携強化に努めた。
宇宙防衛演習は、米豪が主導する合同演習「タリスマン・セーバー」の一環として7月中下旬に豪北東部タウンズビルの豪軍施設で行われ、10カ国近くが参加。自衛隊は米軍主催の机上演習に加わったことはあるが、タリスマン・セーバーの枠組みでは初めて。衛星に対する妨害電波の収集や分析、スペースデブリ(宇宙ごみ)との衝突回避策などの手順を確認した。
1967年発効の宇宙条約は、核兵器や大量破壊兵器の配置を禁止し、平和利用の原則を定めているが、中国やロシアは他国の衛星を破壊できる「キラー衛星」の開発を進めているとされる。日本防衛省は7月に公表した「宇宙領域防衛指針」で、「中ロをはじめ一部の国家は他国の衛星を無力化する技術開発を活発化させ、脅威が拡大している」と指摘。同省は2026年度に宇宙監視衛星を打ち上げる予定で、「同盟・同志国と相互に補完し合う体制の構築」を目指している。
今回の演習で空自の指揮官を務めた羽石圭吾2等空尉は「宇宙に国境はなく、一国の努力だけでは対処は不可能だ。演習は同志国との相互理解や連携を深める機会となった」と語った。
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