バシー海峡で戦没者慰霊=遺族ら参列、浜辺で献花―台湾 2025年08月03日 16時47分

3日、台湾南部・屏東県恒春の浜辺で、バシー海峡の戦没者に献花する慰霊祭参加者ら
3日、台湾南部・屏東県恒春の浜辺で、バシー海峡の戦没者に献花する慰霊祭参加者ら

 【恒春(台湾南部)時事】太平洋戦争中に台湾―フィリピン間のバシー海峡で戦没した日本兵らの慰霊祭が3日、海峡を望む台湾最南端の屏東県恒春で営まれた。生還者が建立した潮音寺で台湾在留邦人を中心に10年前から毎年行っており、戦後80年の今年は約150人が参列した。
 バシー海峡は戦争末期、南方へ向かう日本軍の輸送船などが米軍に次々と沈められ「輸送船の墓場」と言われた。10万人以上とされる戦没者の正確な数は今も分かっていない。
 父親を海峡で亡くした鹿児島県伊仙町の吉岡初枝さん(80)が慰霊祭で遺族代表として弔辞を読み、「お父さん、あなたの最期の地で再会できることに胸がいっぱいです」と語り掛けた。「何一つ形見がない」という吉岡さんは、「戦争の恐ろしさを若い人に知ってほしい」と訴えた。
 渡辺崇之実行委員長(52)は「戦没者の無念を受け止めて鎮魂の祈りをささげ、後世に伝え、現代日本の教訓にできれば」とあいさつ。撃沈された駆逐艦「呉竹」の艦長の遺児で佐賀県小城市の住職、吉田宗利さん(83)が読経した。参列者はその後、浜辺に移動して献花した。 

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