ブラジル前大統領に禁錮27年=クーデター計画を主導―最高裁 2025年09月12日 08時47分

【サンパウロ時事】ブラジル連邦最高裁判所は11日、2022年10月の大統領選で敗北した結果を覆そうとクーデターを計画した罪などに問われたボルソナロ前大統領(70)らに対する公判を開き、前大統領に禁錮27年3月の判決を下した。権力維持を図るために結成された「犯罪組織」を主導し、選挙で勝利したルラ現大統領の殺害などを計画したと判断した。
ボルソナロ被告の弁護団は、上訴や国際法廷への不服申し立てなどを含め、「適切に対応」する意向を表明した。
裁判を巡っては、無罪を主張するボルソナロ被告を盟友と見なすトランプ米大統領が「魔女狩り」と非難し、ブラジルに50%の関税を課した。禁錮刑が決まったことで、トランプ氏のさらなる反発を招く可能性が高い。同氏は11日、判決内容に「とても驚いている」とコメントした。ルビオ国務長官はX(旧ツイッター)に「不当な判決だ。米国はこの魔女狩りにそれ相応の対応を取る」と投稿した。
今月2日から続く一連の公判では、5人中4人の判事が有罪を支持。続いて、5件の罪が認定された同被告への量刑も協議した。
ボルソナロ被告のほか、当時の閣僚ら7人も訴追された。判事らは、ボルソナロ被告が「主犯格」だったと判断。選挙の1年以上前から電子投票システムの透明性に疑義を唱え、クーデター計画への布石を打ったとも指摘した。ボルソナロ被告が支持者らを扇動し、23年1月には大統領府を含めた国の中枢機関が襲撃されたが、その責任も厳しく問われた。
ボルソナロ被告を巡っては、別の裁判で大統領選で権力を乱用したとして30年まで被選挙権を停止する判決を受けている。国内では恩赦を求める動きもあるが、今回の判決で政界復帰は一段と困難になった。