前フィリピン大統領に「認知障害」=ICC審理延期に遺族反発―弁護団 2025年09月13日 14時14分

【マニラ時事】「人道に対する罪」に問われ国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)に拘束されているフィリピンのドゥテルテ前大統領(80)の弁護団が、同氏に記憶力や視覚に影響する「重大な認知障害」があり、裁判に耐えられないと主張している。弁護団は裁判手続きの無期限延期を求めており、審理の行方に不透明感が漂っている。
ドゥテルテ氏は3月、大統領在任中などに麻薬密売人の超法規的殺害を命じたことが「人道に対する罪」に当たるとして逮捕された。ICCは当初、裁判を開くかを判断するための審理を今月23日に始める予定だったが、8日に延期を決定。健康状態を確認した上で日程を改めて決めることにした。
今月11日に公表された8月18日付の申し立てで、弁護側はドゥテルテ氏に「適切な弁護に不可欠な認知能力が欠如している」として、記憶障害のために裁判の内容を完全に理解できないと訴えた。症状は進行性で、治療を受けても「法的能力がある状態には戻らない」とも指摘した。
ドゥテルテ氏による「麻薬戦争」の被害者遺族は9日に記者会見し、ICCによる審理延期に反発し、弁護側が「遅延戦術」を取っていると非難。遺族の弁護士は、同氏の体調に問題はないと家族が説明していたことに触れ、「ドゥテルテ氏は健康で裁判を受けることができる」と強調した。