解体回避も事業環境厳しく=AI検索台頭で―米グーグルの独禁法訴訟 2025年09月03日 17時50分

 【シリコンバレー時事】検索エンジン市場を巡る反トラスト法(独占禁止法)違反訴訟で、米グーグルは2日、ウェブブラウザー(閲覧ソフト)「クローム」の売却命令を免れ、検索事業の「解体」を当面回避した。だが、検索市場では人工知能(AI)技術を用いた新興勢力が台頭。広告を巡る別の是正措置の審理も迫り、グーグルを取り巻く事業環境は厳しさを増している。
 グーグルは検索時に結果と共に表示される広告で売上高の大部分を稼いできた。分析サイトのスタットカウンターによれば、検索エンジン市場でのシェアは9割を占める。だが、近年は「チャットGPT」などの対話型AIに質問して情報を探す人が増えているほか、米パープレキシティといったAI検索の新興企業が利用を伸ばす。
 米連邦地裁は、こうしたAI新興の伸長を背景に、是正措置としてグーグルが保有する検索に関するデータの提供を命じた。グーグル側が上訴する可能性はあるが、仮にこの措置が確定した場合、同社の豊富なデータで有力なライバル企業を成長させることになり、主力事業への影響は免れない。
 グーグルはインターネット広告事業を巡る別の反トラスト法訴訟でも、4月に独占を認定されており、今後是正策が審理される。原告の司法省は2日の決定を受け、「企業に独占行為の責任を果たさせるための努力を続ける」とする声明を発表。グーグルに引き続き厳しい措置を求めていくとみられ、事業再編の懸念は残る。 

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